柘榴石    田中章滋


あり得べくもない魂達の泣き叫ぶ丘
そこでは星の旋律も凍りつき
イアソンの衣から仮面が剥がれ落ちる
 
この世の物語はすべて霊的な償いとして
昇華した銀の涙と化している

ライラックの咲き零れる
そこは野原だった

コロスたちの歌唱も響いていた

永遠という言葉が力を喪失ったのは
野の鍵が錆び付いたからか
すべてはオーロラの帳に秘匿されている

ああ

今はただに無を想像する
それが如何な容器であったか…

濃霧を彫刻したかのような
衰弱のフィヨルドを

彗星の飛沫が駆け抜ける